2007年 12月 11日
1-2の最後(かな?) |
紅茶を飲みながら礼がその少女から聞き出せたのは実のところ、名前がマリア=ハンスドッティルという事と歳が15歳だという事だけであった。それ以外について彼女は口を固く閉ざして何も語らなかった。
「じゃあマスター、明日までに修繕の見積もりを大木ガラス店でいいから貰っておいてね。後、今日の私達のミーティング時の飲み物代もいつものように『五月祭実行委員会』で忘れず付けといてね」
「……」
しかしそれに対して何の返事も無いのはまだショックから覚めやらぬ為であろう。
「……ってこりゃ無理かな?」
打たれ弱いのはマスターの悪いところだわと内心苦笑しながら礼は、さっとメモを書いて、冷蔵庫横のコルクボードに留めた。事後処理に対しひとつひとつ事務的に事を運ぶところはさすがは委員長を任されるだけの事はある。
「さて、これから警察に行きましょうか」
「……!」
「器物破損の上に暴行傷害未遂ですもの、十分補導の対象だわ」
少女の手を取り出入り口へと向かおうとする礼だったが、それを振り払い彼女はさっとカウンターを越えてマスターの元へと駆け寄った。
そして、彼の手を取り上目遣いに、
「……ねぇ、申告なんてしないよね、マスター……?」
と囁(ささや)いた。ご丁寧にも瞳までも潤ませながら。
「(コクコク)」
その途端マスターの目に輝きが戻り、無言で頷(うなづ)く。
少女は喜びのあまりにしてしまったとばかりに、背伸びをしてぎゅっと首筋に抱きつく。
しかしマスターからは見えないであろうその顔に笑みが浮かんだのを見逃さなかった礼は頭をかかえた。
「この知能犯が……」
以前の記事は今回採用せず。でようやく、1-3へと進むわけですが、あの女の子、マリア=ハンスドッティルって名前だったんだ。今朝まで知らなかった私。じゃあ愛称はミーツェですね。
#ミーツェ=ドイツ語で「にゃんこ」って意味。俗語では「おんなのこ」を指す品の無い言葉<こらこら。
で、ここまでで、
原稿用紙25枚強
漢字26%
ひらがな55%
カタカナ5%
です。
by hk-club
| 2007-12-11 11:35
| A SUITOR