2005年 12月 22日
第35話 アストラル・アパッチ (台詞起こし:Bパート) |
※12/26修正版(yasuさん、大感謝です)
■状況説明
今週の台詞起こしはとことん遅れてしまいました。…子供が熱を出した事に始まり、自分の飲み会有り、連れ合いの飲み会有りでの子守有り、交流会有り、と毎日何かしらの雑用?が入ってしまったわけで、これもみんな『師走のせいね』という事で…やっぱり駄目ですかそうですか。
■一応日付は12月22日でUPしますが、
実際に完成したのが25日早朝2時20分だというのは困ったものです。…後4時間40分後に次が放送されるって。関西だから2時間40分後にray=outも放送されるって。いや、それよりも、イブの夜に何やってるんでしょう私。
■空白の日
23、24日とまだ記事を書いていない日がありますが早い目にUPします。ネタはあるんですが書く時間が無いだけなのですよ。…今回はいつも以上に言い訳だらけですね(反省。
■BパートStart
○ティルアー・ガルデン内
空は夕焼け。
「内通者です」
ベンチに腰掛けていたデューイが立ち上がり、アゲハ隊の子供達の前、後ろ手に縛られ座る職員の男まで歩み寄る。
「この男の自白によれば、我々がここにいる事もゲッコーステイト側には洩れていると考えられます」
うつむく顔を引き上げ確認して話すデューイ。
「情報部出身だったな。…タルホの子飼いだったか」
男の顔は、拷問を受けた後で腫れ上がっている。頭を掴む手を離し立ち上がると、アゲハ隊に説明を始めるデューイ、
「敵の狙いは我々ではない。目的はあの老人だ」
その言葉に振り向き、ノルブ師を見るアゲハ隊。
「だが、たとえ奴らがここに攻め込んだとしても、あの老人がホランドに組みするとは限らない」
ノルブ師は空を見つめ、何かを考えている様。
それを自分なりに解釈を加えて話すデューイ。
「…迷っているのだよ。星の救いとなるべく、自らの力を破壊に費やすか、(ノルブ師の顔には汗が)それとも出来の悪い弟子に託すか」
正面を見据えた(つまりはノルブ師を見ている)デューイのアップ。
「見届けようじゃないか。(顔を伏せ)時を逸した彼等に何が出来るのか。(顔を逸らし)もはやあの老人を、我々は必要としていない」
上空で行われている戦闘を見つめるデューイとアゲハ隊。夕焼け空では爆発やLFOが飛んだ後のトラパーの跡が見えている。
「…オレンジを手にした我々にはな」
○首都内での戦闘シーン
機銃を打ちまくる軍KLF。ホランドが駆る909は巧みなリフティングでかわし、敵KLFを撃破。ビル屋上に人型モードで着陸する909。
『606タルホさんより入電。ノルブ師は現在、ティルアー・ガルデンにいる模様』
コクピットのホランド、左右を視認して答える。
「わかった、急行する」
LIVEモニタでギジェットが不安げに話す。
『でもリーダ、ニルヴァーシュが行方不明で…』
しかし、ホランドはあっさりと言い切る。
「あいつらなら大丈夫だ。あの2人がそう簡単にやられる筈がねえ」
人型モードからビーグルモードに変形し走り出す909。勢いをつけ、サイド人型モードに変わり、空へと上がっていく。
高度を取っていく909。ホランドの呟き。
「もしこの程度でへこたれるなら、もしこの程度であいつ等が死んじまうなら、(コクピット内のホランド)この先俺達を待ち受けている運命に耐えられる筈がねえ。未来だって切り開ける筈ねえんだっ!」
カットバックドロップターン?を決めて、ティルアー・ガルデンを目指しリフっていく909。
○ティルアー・ガルデン内
「てぃっ…うあっ!」
上空からの風圧を受け、顔を歪めて呻くノルブ師。
飛んでいく軍のKLF3機に向かいその右手を差し出す、
「んん…っ」
…がすぐに思い止まり、その手を胸に当てる。
その姿を見つめているデューイ。
○首都上空。
909に飛来する無数のミサイル。巧みなボード捌きでかわしていく909。ミサイルは1発も当たらない。
○ティルアー・ガルデン内
上空の戦いを見つめているノルブ師。
○月光号ブリッジ。
モニタに敵影多数。
それを見て呟くウォズ。
「くそ、倒しても倒しても湧いて出てきやがるぞ」
「ニルヴァーシュは?」
ハップが問う。
「駄目です、応答ありません」
心配気に答えるギジェット。
ブリッジ内に漂う悲痛な雰囲気を緩和させるようにケンゴウが言う。
「もうすぐタルホが発電施設から脱出してくる筈だ。その援護が済み次第、ヒルダをホランドの援護に回せばいい」
ギジェットは了承の返事を。
「了解っ!」
ただハップはまだ不安げに聞く。
「間に合うか?」
それに対し、ケンゴウはきっぱりと自信を持って言い切る。
「んー、間に合うに決まっとる。あいつはわしがこの月光号を託した男だ、」
戦っている909の姿。
「この程度でやられる筈は無い!」
その言葉通り、1対多の不利な状況下でも優勢に戦いを進めている。
機銃が使えなくなったと思ったら即それを投げ捨て、ナイフに切り替える思い切りの良さにも、ホランドの非凡さを感じさせる。
「うわわわーぁっ」
掛け声と共に、迫る2機のKLFへと向かっていく。
○ティルアー・ガルデン内
空から落ちてくる、ばらされたKLF2機。それに振り向くノルブ師。
「えっ?」
そしてティルアー・ガルデン内に降りてくる909。その際発生した砂塵で顔を押さえるノルブ師とアゲハ隊。
砂煙の中、跪いて着地している909の上、銃を片手に立つホランドの姿。
「待たせたな、じいさん」
「ホランド」
見上げて呟くノルブ師。
「遅かったじゃないか」
喋りながら近付いてくるデューイ、
「今更ノコノコと何しにやってきた?(ホランドを見つめ叫ぶ)…このノヴァク家の恥さらしがっ!」
予想外の再会に戸惑いの表情を浮かべるホランド。デューイに向かって呟く。
「!…兄さん」
○首都、ビルとビルの隙間。
隙間から見えるは夕焼け空。
そこに隠れるようにしゃがみこむニルヴァーシュ。
「聞いてよエウレカ。誰かが助けてくれる。軍が攻撃をやめてくれる」
コパイで膝を抱え、俯き加減のエウレカ(浮かない表情)。
「そんな事を期待しても、僕らがやらない限り月光号のみんなが危険なのは変わらない」
そんなエウレカにレントンが語りかけている。
「仮に今僕らが戦う事を止めても(視線を逸らし)軍は攻撃を止めてくれない」
目をつむり、顔をそむけるエウレカ。
「じゃあ逃げようよっ」
叫ぶレントン。
「エウレカ!」
苦しげに叫ぶように言うエウレカ。
「だって怖いんだもん!(レントンの方に身を乗り出し)さっきみたいに死にそうな目に遭うんだよ!!私達だけじゃない、月光号のみんなも、モーリス達だって!(シートにつく手に力が入り、涙がこぼれる)…それにもうこれ以上何も傷つけたくないよっ…」
涙に気付き、エウレカを見つめ、考えるように視線を逸らすレントン。聞こえてくる嗚咽にエウレカを見つめ、やさしく抱きしめる。
抱きしめられ赤面するエウレカ。
「レントンっ」
「そんなに辛いんなら戦わなくていいんだ。(驚くエウレカ)本当に辛いなら君はもう戦わなくてもいい。オレは君の苦しむ姿はもう見たくないんだ。でもね、今ここで全てを投げ出してもこの戦いは終わらないと思う。(閉じていた目を見開き、力強く言うレントン)だからオレは戦う。始まってしまった人間とコーラリアンとの争いを何とかして止めるために。オレは信じてるんだ。君とこのニルヴァーシュとならこの戦いを終わらせる事ができるかもしれないってことを。だからオレを信じて」
抱きしめた手を緩めて、エウレカを見つめるレントン。
「…レントン」
迷いの無い瞳のレントン、アップ。
「オレ達が信じることをやろう、エウレカ」
エウレカの表情が笑顔に変わっていく。
「…うんっ」
にっこりと嬉しそうに微笑む顔を流れる一筋の涙(目に溜まっていたのがこぼれ落ちる)。
○ティルアー・ガルデン内
すでに空は暗く、街頭が灯っている。
デューイと相対しているホランド。ノルブ師は、アゲハ隊が抑えたまま。
「どうした、ホランド。何を懇願しに来た」
ホランドバストアップ。
「生憎だがお前らに与えてやれるものはほとんど無い」
デューイの後ろに立つ、ノルブ師。その両脇にアゲハ隊。
目を伏せ命令を出すデューイ。
「その老人を放してやりなさい」
驚くアゲハ隊D。
「よろしいのですか?」
アゲハ隊Dに目をやり話すデューイ。
「構わない。ひもじい弟を慰めるのは、(じろっ、とデューイを見てホランドの方へ歩き出すノルブ師)同じく時を逸した者がよかろう」
デューイの傍からホランドの方へと歩み続けるノルブ師。その間もデューイは話すのを止めない。
「この老人が何故ここに来たのかわかるか?彼は知ったのだ。お前にエウレカの対になる者など見つけられる筈が無いと。故に諦めたのだ。スカブコーラルとの対話そのものを」
「…すまない」
ホランドにわびるノルブ師。
しかし、ホランドの視線はデューイを見つめたまま呟く。
「下がっていてくれ。あんたに見せたいものがある。(ホランド、ノルブ師に視線を移して)…約束の品だ」
「何っ?」
その言葉に驚くノルブ師。
「ホランド!」
ホランドとノルブ師が何かを話したのを遮るかのように大きな声を出すデューイ。
その声に反応して、デューイを見るホランドとノルブ師。
「お前は私には絶対に追いつけない。リフに始まり、お前は私を追って軍にまでも属した。だが、いつだって私に追いつけたことがあったか?」
馬鹿にするように言葉を続けるデューイ。
「挙句、私のお古の女まで拾う。(ホランド、ぐっと左手…タルホとのペアリングが光る…を握り締め耐える)お前にはお似合いだよ」
眉を顰め、ノルブ師に言うホランド。
「っ!…下がっていてくれ」
「例のくだらない雑誌もそうだ」
「!」
ひたすら語るデューイ。
「お前はあの雑誌で真実を伝えようとしたようだが、結果はどうだ?くだらないモラトリアムをただ垂れ流し、時間を無駄に浪費しただけではないか。もうわかっているだろう?大衆には真実などどうでもよいのだ。大衆は真実では動かない。必要なのは大きな声と強い刺激だ!さらに、その愚民共のちっぽけなプライドを刺激してやれば、彼らは真実よりもまがい物を選択する。(勝ち誇った顔のデューイ)兄として忠告しておく。ゼネラルなものの見方をしろ。(銃を構えるホランド。横にノルブ師)さもなくば、お前に勝ち目はない」
肩をすくめて話し出すホランド(眉を顰め目は閉じたまま)。
「相変わらずだなぁ~。でもちょっとがっかりだぜ。(目を開き口元に笑みを浮かべて)あんたが全然俺に追いついていないことがな」
思いもよらないホランドの返答やリアクションに戸惑うデューイ。
「何だと?」
そこへ虹色の光と共に現れるニルヴァーシュspec2。
それを見て、目を瞠り呟くノルブ師。
「これは…!本当に現れたのか?」
飛行モードから人型モードに変形しティルアー・ガルデンへ降り立つ。
ノルブ師へ手を差し出すニルヴァーシュspec2。そっちに顔を向け言うホランド。
「遅いぞ、お前等。一体何やってた?」
キャノピーを開けたコクピットから言うレントン。
「すいません、ちょっと寄り道してました。さあ、ノルブさん」
同じくエウレカ。
「急いで」
微笑みながらspec2へと走っていくノルブ師。
それを見たデューイは、
「…いかん!」
と焦り、引きとめようと向かうも、ノルブ師を乗せたニルヴァーシュspec2は飛び去っていく。
その巻き起こった砂煙の中、
「何だ、一体あの機体は何だ?」
呟くデューイ。視線は飛んでいったspec2の方を見つめている。
「ねだるな」
その声にホランドの方を見るデューイ。
ホランドは909上に。
「ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん。これが俺達ゲッコーステイトだっ」
ホランドの後ろに606、808、そして月光号が姿を現す。
LIVEモニタでデューイを見つめるタルホ。その表情は無い。
ホランドの命令が無線より流れる。
『よーし、全機撤退。』
「ふっ」
鼻で笑うタルホ。
『月光号に戻るぞっ!』
ボードに飛び乗りリフっていく909、606。その際の風圧でよろけるデューイ。体勢を整え彼らを追ってみているその直後、周りの明かりが次々に消えていく。
○首都上空。
順次消えていく街(ビル)の明かり。
あっという間に、首都全域の明かりが消える。
606後部座席でグレッグにお姫様抱っこされているミーシャが言う。
「なるほど。これがしたくて発電施設を選んだ訳ね」
「あの男の顔が見たくなかっただけよ」
目を伏せ言い訳を口にするタルホ。
○ティルアー・ガルデン内
空を見上げるデューイ。
「っ!」
剣を握り締める。
○飛ぶ月光号。
「全機の着艦を確認」
月光号ブリッジ。
報告するギジェット。
「カタパルト収納完了」
それを受け、指示を出すケンゴウ。
「よし、発進!」
ムーンドギーはそれに従う。
「了解!」
メインエンジンを点火し、首都より離脱していく月光号。
○月光号格納庫。
ニルヴァーシュ(ビーグルモード)横。立つノルブ師とホランド。
「よく何もせず耐えてくれた」
ホランドがノルブ師に話す。
「耐えたって、何が?」
何言ってるんだという感の答えに戸惑うホランド。
「あ?いや、だから首都を破壊する為に行ったんだろう?」
肩をすくめて話すノルブ師、
「馬鹿言え、殺す気かお前。も、無理。(左右に手を振る)歳だよ歳。それよか、まず一服させて」
口を尖らせ、ホランドに煙草を要求する。
呆れ顔のホランド。
「歳だって言ってるそばからそれかよぉ」
コクピットから出てきた、レントンとエウレカの声が2人に聞こえてくる。
「エウレカ、大丈夫?」
エウレカに手を貸すレントン。その手を取って出てくるエウレカ。
「うん、大丈夫。ありがと、レントン。ニルヴァーシュも喜んでるよ」
「そ、そかあ」
2人して笑いあい、とても仲睦まじい。
それを見たノルブ師、
「これがそうか…」
と呟く。ホランドが言う。
「ああ、これが俺達の希望だ」
2人して、レントンとエウレカを見つめている。
レントンとエウレカの「ああ、全然そんな事ないよ」「うふふ」「あはは」…と仲よさげな会話が聞こえる。
「ははは…」
嬉しそうに笑うノルブ師。
○首都。
ティルアー・ガルデン内
「大佐、更に報告が入りました」
剣でコツコツと地面を突くデューイ(足元のみ)。
「発電施設の復旧に最短でも72時間を要し、それに伴い修復を必要とする首都機能の30%が…」
報告をするアゲハD。
その報告を途中で遮るデューイ。
「もういい」
そこにアゲハE、新たな報告に来る。
「大佐っ、賢人が謁見の間に来いと」
剣をカツっと1度強く突き、振り返るデューイ。
その口元には不気味な笑みが…。
(レントンとエウレカの声で)つづく
■BパートEnd
■次回予告
「大地に魅せられ、消えた少女。男の目に映る鮮やかな記憶に、少年は夢見た人に真実を見る。次回 ファンタジア』
■第35話 アストラル・アパッチ End
■今回も当然あったりする言い訳(お約束)
電子テキスト化する時に、今回はTV録画ビデオを使用、手順としてはまず台詞を聞き取り、それから画面を観て状況を記入する、という順序の作業を行っています。
がそれでも、UP前のチェックで状況説明に脳内補完(個人的判断)を入れてる可能性がありますので念の為。但し、台詞はそのままです(…ただ、その台詞が100%正しいとはいえません)。
上記の事を理解した上で、台詞や状況説明等の「ここってこうじゃない?」というの突っ込みをお待ちしてます。
■アゲハ隊
前回、アゲハDをワカメちゃんとしました。で今回AとEが増えたのですが、Aを金髪、Eを邪馬台国に勝手に決めて台詞起こしで使用しています。ええ、あってる可能性は低いと思います。まあ、いつかは何処かでキャラ表を見る事もできるでしょうから、それまでの推理する楽しみだと言えるでしょう。
■次回こそは
火曜日までに第36話の台詞起こしを終わりたいものです。…頑張ろーっと。
■状況説明
今週の台詞起こしはとことん遅れてしまいました。…子供が熱を出した事に始まり、自分の飲み会有り、連れ合いの飲み会有りでの子守有り、交流会有り、と毎日何かしらの雑用?が入ってしまったわけで、これもみんな『師走のせいね』という事で…やっぱり駄目ですかそうですか。
■一応日付は12月22日でUPしますが、
実際に完成したのが25日早朝2時20分だというのは困ったものです。…後4時間40分後に次が放送されるって。関西だから2時間40分後にray=outも放送されるって。いや、それよりも、イブの夜に何やってるんでしょう私。
■空白の日
23、24日とまだ記事を書いていない日がありますが早い目にUPします。ネタはあるんですが書く時間が無いだけなのですよ。…今回はいつも以上に言い訳だらけですね(反省。
■BパートStart
○ティルアー・ガルデン内
空は夕焼け。
「内通者です」
ベンチに腰掛けていたデューイが立ち上がり、アゲハ隊の子供達の前、後ろ手に縛られ座る職員の男まで歩み寄る。
「この男の自白によれば、我々がここにいる事もゲッコーステイト側には洩れていると考えられます」
うつむく顔を引き上げ確認して話すデューイ。
「情報部出身だったな。…タルホの子飼いだったか」
男の顔は、拷問を受けた後で腫れ上がっている。頭を掴む手を離し立ち上がると、アゲハ隊に説明を始めるデューイ、
「敵の狙いは我々ではない。目的はあの老人だ」
その言葉に振り向き、ノルブ師を見るアゲハ隊。
「だが、たとえ奴らがここに攻め込んだとしても、あの老人がホランドに組みするとは限らない」
ノルブ師は空を見つめ、何かを考えている様。
それを自分なりに解釈を加えて話すデューイ。
「…迷っているのだよ。星の救いとなるべく、自らの力を破壊に費やすか、(ノルブ師の顔には汗が)それとも出来の悪い弟子に託すか」
正面を見据えた(つまりはノルブ師を見ている)デューイのアップ。
「見届けようじゃないか。(顔を伏せ)時を逸した彼等に何が出来るのか。(顔を逸らし)もはやあの老人を、我々は必要としていない」
上空で行われている戦闘を見つめるデューイとアゲハ隊。夕焼け空では爆発やLFOが飛んだ後のトラパーの跡が見えている。
「…オレンジを手にした我々にはな」
○首都内での戦闘シーン
機銃を打ちまくる軍KLF。ホランドが駆る909は巧みなリフティングでかわし、敵KLFを撃破。ビル屋上に人型モードで着陸する909。
『606タルホさんより入電。ノルブ師は現在、ティルアー・ガルデンにいる模様』
コクピットのホランド、左右を視認して答える。
「わかった、急行する」
LIVEモニタでギジェットが不安げに話す。
『でもリーダ、ニルヴァーシュが行方不明で…』
しかし、ホランドはあっさりと言い切る。
「あいつらなら大丈夫だ。あの2人がそう簡単にやられる筈がねえ」
人型モードからビーグルモードに変形し走り出す909。勢いをつけ、サイド人型モードに変わり、空へと上がっていく。
高度を取っていく909。ホランドの呟き。
「もしこの程度でへこたれるなら、もしこの程度であいつ等が死んじまうなら、(コクピット内のホランド)この先俺達を待ち受けている運命に耐えられる筈がねえ。未来だって切り開ける筈ねえんだっ!」
カットバックドロップターン?を決めて、ティルアー・ガルデンを目指しリフっていく909。
○ティルアー・ガルデン内
「てぃっ…うあっ!」
上空からの風圧を受け、顔を歪めて呻くノルブ師。
飛んでいく軍のKLF3機に向かいその右手を差し出す、
「んん…っ」
…がすぐに思い止まり、その手を胸に当てる。
その姿を見つめているデューイ。
○首都上空。
909に飛来する無数のミサイル。巧みなボード捌きでかわしていく909。ミサイルは1発も当たらない。
○ティルアー・ガルデン内
上空の戦いを見つめているノルブ師。
○月光号ブリッジ。
モニタに敵影多数。
それを見て呟くウォズ。
「くそ、倒しても倒しても湧いて出てきやがるぞ」
「ニルヴァーシュは?」
ハップが問う。
「駄目です、応答ありません」
心配気に答えるギジェット。
ブリッジ内に漂う悲痛な雰囲気を緩和させるようにケンゴウが言う。
「もうすぐタルホが発電施設から脱出してくる筈だ。その援護が済み次第、ヒルダをホランドの援護に回せばいい」
ギジェットは了承の返事を。
「了解っ!」
ただハップはまだ不安げに聞く。
「間に合うか?」
それに対し、ケンゴウはきっぱりと自信を持って言い切る。
「んー、間に合うに決まっとる。あいつはわしがこの月光号を託した男だ、」
戦っている909の姿。
「この程度でやられる筈は無い!」
その言葉通り、1対多の不利な状況下でも優勢に戦いを進めている。
機銃が使えなくなったと思ったら即それを投げ捨て、ナイフに切り替える思い切りの良さにも、ホランドの非凡さを感じさせる。
「うわわわーぁっ」
掛け声と共に、迫る2機のKLFへと向かっていく。
○ティルアー・ガルデン内
空から落ちてくる、ばらされたKLF2機。それに振り向くノルブ師。
「えっ?」
そしてティルアー・ガルデン内に降りてくる909。その際発生した砂塵で顔を押さえるノルブ師とアゲハ隊。
砂煙の中、跪いて着地している909の上、銃を片手に立つホランドの姿。
「待たせたな、じいさん」
「ホランド」
見上げて呟くノルブ師。
「遅かったじゃないか」
喋りながら近付いてくるデューイ、
「今更ノコノコと何しにやってきた?(ホランドを見つめ叫ぶ)…このノヴァク家の恥さらしがっ!」
予想外の再会に戸惑いの表情を浮かべるホランド。デューイに向かって呟く。
「!…兄さん」
○首都、ビルとビルの隙間。
隙間から見えるは夕焼け空。
そこに隠れるようにしゃがみこむニルヴァーシュ。
「聞いてよエウレカ。誰かが助けてくれる。軍が攻撃をやめてくれる」
コパイで膝を抱え、俯き加減のエウレカ(浮かない表情)。
「そんな事を期待しても、僕らがやらない限り月光号のみんなが危険なのは変わらない」
そんなエウレカにレントンが語りかけている。
「仮に今僕らが戦う事を止めても(視線を逸らし)軍は攻撃を止めてくれない」
目をつむり、顔をそむけるエウレカ。
「じゃあ逃げようよっ」
叫ぶレントン。
「エウレカ!」
苦しげに叫ぶように言うエウレカ。
「だって怖いんだもん!(レントンの方に身を乗り出し)さっきみたいに死にそうな目に遭うんだよ!!私達だけじゃない、月光号のみんなも、モーリス達だって!(シートにつく手に力が入り、涙がこぼれる)…それにもうこれ以上何も傷つけたくないよっ…」
涙に気付き、エウレカを見つめ、考えるように視線を逸らすレントン。聞こえてくる嗚咽にエウレカを見つめ、やさしく抱きしめる。
抱きしめられ赤面するエウレカ。
「レントンっ」
「そんなに辛いんなら戦わなくていいんだ。(驚くエウレカ)本当に辛いなら君はもう戦わなくてもいい。オレは君の苦しむ姿はもう見たくないんだ。でもね、今ここで全てを投げ出してもこの戦いは終わらないと思う。(閉じていた目を見開き、力強く言うレントン)だからオレは戦う。始まってしまった人間とコーラリアンとの争いを何とかして止めるために。オレは信じてるんだ。君とこのニルヴァーシュとならこの戦いを終わらせる事ができるかもしれないってことを。だからオレを信じて」
抱きしめた手を緩めて、エウレカを見つめるレントン。
「…レントン」
迷いの無い瞳のレントン、アップ。
「オレ達が信じることをやろう、エウレカ」
エウレカの表情が笑顔に変わっていく。
「…うんっ」
にっこりと嬉しそうに微笑む顔を流れる一筋の涙(目に溜まっていたのがこぼれ落ちる)。
○ティルアー・ガルデン内
すでに空は暗く、街頭が灯っている。
デューイと相対しているホランド。ノルブ師は、アゲハ隊が抑えたまま。
「どうした、ホランド。何を懇願しに来た」
ホランドバストアップ。
「生憎だがお前らに与えてやれるものはほとんど無い」
デューイの後ろに立つ、ノルブ師。その両脇にアゲハ隊。
目を伏せ命令を出すデューイ。
「その老人を放してやりなさい」
驚くアゲハ隊D。
「よろしいのですか?」
アゲハ隊Dに目をやり話すデューイ。
「構わない。ひもじい弟を慰めるのは、(じろっ、とデューイを見てホランドの方へ歩き出すノルブ師)同じく時を逸した者がよかろう」
デューイの傍からホランドの方へと歩み続けるノルブ師。その間もデューイは話すのを止めない。
「この老人が何故ここに来たのかわかるか?彼は知ったのだ。お前にエウレカの対になる者など見つけられる筈が無いと。故に諦めたのだ。スカブコーラルとの対話そのものを」
「…すまない」
ホランドにわびるノルブ師。
しかし、ホランドの視線はデューイを見つめたまま呟く。
「下がっていてくれ。あんたに見せたいものがある。(ホランド、ノルブ師に視線を移して)…約束の品だ」
「何っ?」
その言葉に驚くノルブ師。
「ホランド!」
ホランドとノルブ師が何かを話したのを遮るかのように大きな声を出すデューイ。
その声に反応して、デューイを見るホランドとノルブ師。
「お前は私には絶対に追いつけない。リフに始まり、お前は私を追って軍にまでも属した。だが、いつだって私に追いつけたことがあったか?」
馬鹿にするように言葉を続けるデューイ。
「挙句、私のお古の女まで拾う。(ホランド、ぐっと左手…タルホとのペアリングが光る…を握り締め耐える)お前にはお似合いだよ」
眉を顰め、ノルブ師に言うホランド。
「っ!…下がっていてくれ」
「例のくだらない雑誌もそうだ」
「!」
ひたすら語るデューイ。
「お前はあの雑誌で真実を伝えようとしたようだが、結果はどうだ?くだらないモラトリアムをただ垂れ流し、時間を無駄に浪費しただけではないか。もうわかっているだろう?大衆には真実などどうでもよいのだ。大衆は真実では動かない。必要なのは大きな声と強い刺激だ!さらに、その愚民共のちっぽけなプライドを刺激してやれば、彼らは真実よりもまがい物を選択する。(勝ち誇った顔のデューイ)兄として忠告しておく。ゼネラルなものの見方をしろ。(銃を構えるホランド。横にノルブ師)さもなくば、お前に勝ち目はない」
肩をすくめて話し出すホランド(眉を顰め目は閉じたまま)。
「相変わらずだなぁ~。でもちょっとがっかりだぜ。(目を開き口元に笑みを浮かべて)あんたが全然俺に追いついていないことがな」
思いもよらないホランドの返答やリアクションに戸惑うデューイ。
「何だと?」
そこへ虹色の光と共に現れるニルヴァーシュspec2。
それを見て、目を瞠り呟くノルブ師。
「これは…!本当に現れたのか?」
飛行モードから人型モードに変形しティルアー・ガルデンへ降り立つ。
ノルブ師へ手を差し出すニルヴァーシュspec2。そっちに顔を向け言うホランド。
「遅いぞ、お前等。一体何やってた?」
キャノピーを開けたコクピットから言うレントン。
「すいません、ちょっと寄り道してました。さあ、ノルブさん」
同じくエウレカ。
「急いで」
微笑みながらspec2へと走っていくノルブ師。
それを見たデューイは、
「…いかん!」
と焦り、引きとめようと向かうも、ノルブ師を乗せたニルヴァーシュspec2は飛び去っていく。
その巻き起こった砂煙の中、
「何だ、一体あの機体は何だ?」
呟くデューイ。視線は飛んでいったspec2の方を見つめている。
「ねだるな」
その声にホランドの方を見るデューイ。
ホランドは909上に。
「ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん。これが俺達ゲッコーステイトだっ」
ホランドの後ろに606、808、そして月光号が姿を現す。
LIVEモニタでデューイを見つめるタルホ。その表情は無い。
ホランドの命令が無線より流れる。
『よーし、全機撤退。』
「ふっ」
鼻で笑うタルホ。
『月光号に戻るぞっ!』
ボードに飛び乗りリフっていく909、606。その際の風圧でよろけるデューイ。体勢を整え彼らを追ってみているその直後、周りの明かりが次々に消えていく。
○首都上空。
順次消えていく街(ビル)の明かり。
あっという間に、首都全域の明かりが消える。
606後部座席でグレッグにお姫様抱っこされているミーシャが言う。
「なるほど。これがしたくて発電施設を選んだ訳ね」
「あの男の顔が見たくなかっただけよ」
目を伏せ言い訳を口にするタルホ。
○ティルアー・ガルデン内
空を見上げるデューイ。
「っ!」
剣を握り締める。
○飛ぶ月光号。
「全機の着艦を確認」
月光号ブリッジ。
報告するギジェット。
「カタパルト収納完了」
それを受け、指示を出すケンゴウ。
「よし、発進!」
ムーンドギーはそれに従う。
「了解!」
メインエンジンを点火し、首都より離脱していく月光号。
○月光号格納庫。
ニルヴァーシュ(ビーグルモード)横。立つノルブ師とホランド。
「よく何もせず耐えてくれた」
ホランドがノルブ師に話す。
「耐えたって、何が?」
何言ってるんだという感の答えに戸惑うホランド。
「あ?いや、だから首都を破壊する為に行ったんだろう?」
肩をすくめて話すノルブ師、
「馬鹿言え、殺す気かお前。も、無理。(左右に手を振る)歳だよ歳。それよか、まず一服させて」
口を尖らせ、ホランドに煙草を要求する。
呆れ顔のホランド。
「歳だって言ってるそばからそれかよぉ」
コクピットから出てきた、レントンとエウレカの声が2人に聞こえてくる。
「エウレカ、大丈夫?」
エウレカに手を貸すレントン。その手を取って出てくるエウレカ。
「うん、大丈夫。ありがと、レントン。ニルヴァーシュも喜んでるよ」
「そ、そかあ」
2人して笑いあい、とても仲睦まじい。
それを見たノルブ師、
「これがそうか…」
と呟く。ホランドが言う。
「ああ、これが俺達の希望だ」
2人して、レントンとエウレカを見つめている。
レントンとエウレカの「ああ、全然そんな事ないよ」「うふふ」「あはは」…と仲よさげな会話が聞こえる。
「ははは…」
嬉しそうに笑うノルブ師。
○首都。
ティルアー・ガルデン内
「大佐、更に報告が入りました」
剣でコツコツと地面を突くデューイ(足元のみ)。
「発電施設の復旧に最短でも72時間を要し、それに伴い修復を必要とする首都機能の30%が…」
報告をするアゲハD。
その報告を途中で遮るデューイ。
「もういい」
そこにアゲハE、新たな報告に来る。
「大佐っ、賢人が謁見の間に来いと」
剣をカツっと1度強く突き、振り返るデューイ。
その口元には不気味な笑みが…。
(レントンとエウレカの声で)つづく
■BパートEnd
■次回予告
「大地に魅せられ、消えた少女。男の目に映る鮮やかな記憶に、少年は夢見た人に真実を見る。次回 ファンタジア』
■第35話 アストラル・アパッチ End
■今回も当然あったりする言い訳(お約束)
電子テキスト化する時に、今回はTV録画ビデオを使用、手順としてはまず台詞を聞き取り、それから画面を観て状況を記入する、という順序の作業を行っています。
がそれでも、UP前のチェックで状況説明に脳内補完(個人的判断)を入れてる可能性がありますので念の為。但し、台詞はそのままです(…ただ、その台詞が100%正しいとはいえません)。
上記の事を理解した上で、台詞や状況説明等の「ここってこうじゃない?」というの突っ込みをお待ちしてます。
■アゲハ隊
前回、アゲハDをワカメちゃんとしました。で今回AとEが増えたのですが、Aを金髪、Eを邪馬台国に勝手に決めて台詞起こしで使用しています。ええ、あってる可能性は低いと思います。まあ、いつかは何処かでキャラ表を見る事もできるでしょうから、それまでの推理する楽しみだと言えるでしょう。
■次回こそは
火曜日までに第36話の台詞起こしを終わりたいものです。…頑張ろーっと。
by hk-club
| 2005-12-22 02:40
| エウレカセブン【台詞起こし】