2005年 12月 21日
第35話 アストラル・アパッチ (台詞起こし:Aパート) |
■まずは言い訳
今回は私事で色々あって遅れてしまっています台詞起こしです。本当にごめんなさい。
…Bパートはこの分じゃあ23日まで引っ張っちゃいそうですよ、ええ。明日22日は連れ合いの忘年会がある為、夜中は子守りなので。
■OP
書き忘れていましたが、OPが微妙に変わっていましたね。追加カット有り、差し替え有り…。でもそこまでするなら、何故最後の止め絵を変えなかったのでしょう?…というか、あそこだけの変更でよかった人だったもので、私(もしくはそのままでも良かった派)。
何度も言いますが、第3期OPは、歌と画面が良く合っていて好きですよ(そりゃ、絵がもっとキャラクターデザインに近ければ何の文句も無いのでしょうけども)。
※12/26修正版(yasuさん、大感謝です)
■第35話 アストラル・アパッチ Start
○首都キャピトルヒル。
その近郊の島、首都防衛隊 第23監視所。
BGMが鳴り続けている。
「また出たらしいですね、コーラリアン」
「ああ」
監視塔に詰める2人の職員、片方が熱心に話しかけている。
「グレミコワっていう州ですよ、確か。ま、ちょうどこの星の反対側だし心配は…」
足を組み、手にした雑誌を呼んでるソバカス職員が同僚に言う。
「つうかさあ、そのシャカシャカいってんの止めてくんないか。気が散っから」
「何だよ、自分だって本読んでるくせに」
お互い様だろと文句を言う眼鏡をかけた職員、
「いいんだよ、これは情報収集なんだから」
取って付けた言い訳を聞きながら、ラジカセのスイッチをまさぐる。
「あ?」
驚く眼鏡の職員。色々なボタンをカチカチしながら、ラジカセを持ち上げる。
まだ、BGMは鳴り続けている。
「あれ、あれ…おっかしいなあ」
読んでる本から目を離さずに邪魔くさそうに聞くソバカス職員。
「どうしたん」
その方を見て言う眼鏡職員。
「ラジカセついてないんだけど」
ビーッ!、と鳴り出す警告音。
その方向に目をやる二人。
『非情警報、無人のUNKNOWNトラパー反応…』
「おい、なんだこりゃ」
モニタを見て慌てるソバカス職員(足元には、ジャンクフードのカラ等であふれたゴミ箱)。
その声に眼鏡も反応する。
「どうした?」
「未確認のトラパー干渉を確認」
ソバカス職員の報告に戸惑い、立ち上がって周りを見渡す眼鏡職員。
「なんだって?どこだ」
「3時の方向、距離52」
水平線上に水飛沫。だんだんと大きくなっていく。
○海上スレスレを飛行する月光号。
その機体の前方下には4機のLFO(月光号のコンパクインターフェアレンサーの有効範囲内に入るため?)。
ホランドの作戦確認が無線から聞こえてる。
『606は808のバックアップで第23ディストリクトより進入』
808コクピット。主操縦席にタルホ、コパイにミーシャを抱っこして座るグレッグ。
『その間に909とニルヴァーシュで敵を撹乱』
月光号ブリッジ。操縦席にはムーンドギー、キャプテンシートは空席、それ以外のメンバは変わりなし。
『タルホがインフォーマーからノルブの居場所をゲット次第、その奪還に向かう』
部屋でレコードを操るマシュー、それを前で見ているメーテル、リンク。そのお守りをするモリタとソニア。
『すべてはあのじいさんが動き出す前に片付ける』
ニルヴァーシュのコクピット内、レントンとエウレカ。…エウレカの表情が思わしくない。
『この作戦の成功は他でもない俺達のコンビネーションに掛かっている。ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん。俺達なら(ホランド、アップ)出来るっ!』
第23監視所を掠めて首都へと飛んでいく月光号。その後から水飛沫が起こっていく。
○第23監視所。
月光号によって吹き上げられた水が、まるで土砂降りの雨のように監視塔に降り注いでいる。
監視塔内、なす術も無く見送る2人の職員。
ソバカス職員は双眼鏡で通り過ぎていった船を見て呟く。
「あれは、SLー1200MK2。馬鹿な、ここは首都だぞっ!」
■タイトル:第35話 アストラル・アパッチ Astral Apache
■AパートStart
○警報が鳴り響く首都キャピトルヒル。
ティルアー・ガルデンにデューイ、アゲハ隊の子供たちを両脇にノルブ師。
「まだ何にもしてないんだけどねぇ」
胸をはだけたノルブ師が呟く。
「これはあなたを警戒した警報ではない。何者かがこのキャピトルヒルに攻め入ろうとしているんだ」
それを受けて、この状況を話すデューイ。
「何者か?」
「ヴォダラクの過激派の中でここを直接攻撃しようなどいうものがいるだろうか?あなた以外に」
「チっ…」
舌打ちをし、話しだすノルブ師、
「あのねぇ、ちなみに俺は過激派じゃあ…、っ!」
途中で何かに気付き言葉を止める。
デューイも同じ事を考えていた様、ノルブ師の代わりに言葉を続ける。
「私にも心当たりはひとつしかない。あなたが真実を教え、迂闊にもこの星の命運を託したあの男以外に」
不敵な顔つきのデューイ。顔を上げる。
○首都のビル上、並ぶミサイルポット。
次から次へとミサイルを発射していく
首都間近までリフって来ているLFO4機。ホランド、
「先行障壁射出っ!」
と、ミサイルに対抗すべく手を打つ。
月光号より発射される2本の先行障壁弾。ミサイルの前で展開し、煙幕のような壁を張る。
○ティルアー・ガルデン内。
周りの喧騒などお構い無しに話すデューイ。
「あなたは『汝の隣人を愛せよ』ということばを知ってるか?」
「何?」
「我々人類に伝わる最古の書物に書かれていた言葉だ。しかし、何故その言葉が人類最古の書物に書かれていたと思う?それは、人がその言葉なくして互いを生かしておくことが出来ないからだ。何とも情けない存在だな、人というものは」
「何が言いたい」
「私は単に人として自らの言葉を勝ち得たいだけなんだよ。…知っているか?神と呼ばれるものが最初に啓示したのが『始めに言葉ありき』という事柄だった事を」
「…そうか。ふん、ラスコーリニコフにでもなるつもりか、お前は」
○煙の中を飛び出していく月光号。
その前をリフるLFO4機。
外を見ているエウレカ、レントンに振り向き、
「レントン…」
しかしレントンは前を見つめて言う。
「来るよっ」
その言葉に前を向くエウレカ。
前方首都方面から打ち出されるミサイル、リフって上空にへと避けるLFO4機。
月光号の周りに次々に着弾するミサイル。
それにびびるムーンドギー、
「ううう…」
それを横のケンゴウが一喝する。
「慌てるなっ。主砲照準合わせ、てーっ!」
発射される主砲。
後ろから来る主砲ビームに反応するエウレカ。
「!」
ミサイルポットを焼き払い、そのまま首都にまで伸びていく主砲ビーム。街を巻き込み爆発が起きる。
リフるニルヴァーシュ。そのコクピット内。
レントンの肩に手をやり、思いつめた目でレントンに言うエウレカ。
「…レントン」
「わかってる、わかってるつもりなんだけど、でも…(目を伏せる)」
レントン、エウレカから目を逸らし呟く。
「俺だって」
ピーッ
「!」「!」
残っていたミサイルポットから発射されたミサイルに対する警告音に反応し、それをアクロバティックなリフでかわし、ミサイルポットをナイフで切り裂くニルヴァーシュ。
○首都上空を行くLFO4機と月光号
『たった今、俺達は首都キャピトルヒルの絶対防衛線を突破した』
909コクピットのホランド、無線で現状とこれからの確認をする。
「作戦の第1段階は成功だ。これから第2段階へと移行する。いいなっ!」
『了解っ!』
皆が言う中、聞こえなかった声に気付くホランド。
「…んっ。どうしたニルヴァーシュ。…あっ」
自機の下を行くニルヴァーシュに気付く。
モニタにレントン。
『ホランド、もうこんな戦い止めましょう』
モニタ越しに怒鳴るホランド。
「馬鹿野郎、今更何言ってやがる」
コクピットのレントン
「こんな戦い方、俺、良くないと思います(横にいるエウレカを見て)。こんなの、俺達の戦い方じゃないです」
胸に左手を当て目を伏せるエウレカ。心配気に見つめるレントン。ホランドの声が無線から響く。
『ブリーフィングでも言った筈だ。ここで引き帰したらこの星は全てを失う。俺達には時間が無いんだっ!』
前を向くレントン、
「だけど…」
ホランドに反論しようとした時、左手を胸に当てて目を伏せたままのエウレカがぽそりと言う。
「大丈夫」
驚くレントン。
「えっ?」
目をつむったまま自分自身に言い聞かせるように話すエウレカ、
「大丈夫、まだ行ける。(目を開けレントンの方を向き)だからお願い、手を握ってて…」
左手をレントンの方に差し出す。
「エウレカ」
やさしくその手を握るレントン。
急に上昇するニルヴァーシュ。それを見送るホランド、
「…」
すぐに下から来る3機のKLFに気付く。
「…えっ」
KLFから発射されるミサイル群。
上下右左と、自由自在にリフりながらそのミサイルを避けていく909。塔(軌道エレベータ)の方へと逃げてかわしていく。
ミサイル爆発の煙の中から飛び出してくる4機のLFO。即、それぞれの方向に展開する。その後ろから月光号が続く。
ゲッコウ号は塔(軌道エレベータ)を掠めるようにを右旋回していく。
○首都。
上空では戦いが。
『非常警報が発令されました。各自速やかに、指定されたシェルターへ避難して下さい。繰り返します。非常警報が発令されました。各自速やかに、指定されたシェルターへ避難して下さい…』
軍人に混じって道を走って逃げ惑う一般人。その中には母親に手を引かれて走る子供の姿が。
エウレカの目アップ。
ぎゅっと握る手に力が入るエウレカ(いつの間にか手の上下が逆に…エウレカがレントンの手を握っている)、苦悶の表情で俯く。
「エウレカ」
「…子供がいた」
苦しそうに呟くエウレカ。
「え?」
確認しようとレントンは顔を向けるが、人が小さすぎてわからない。
「やっぱり怖いっ…」
握り締める手に更に力が入る。
「うわぁあ…っ」
急上昇をするニルヴァーシュに驚くレントン。
レントンがエウレカを励ます。
「頑張って、エウレカ!」
それに首を振って答えるエウレカ。
「わかってる!わかってるけど、私達が頑張れば頑張るだけあの人達を倒すことになるんだよ!」
エウレカから正面へと視線を移して、
「そうだけど(視線を落とし)、でも…」
「…怖いよ」
「エウレカ!」
再びエウレカの方を向くレントン。
「(逃げ惑う人々)あの人達にもきっと大切な人がいるんだよ。(シェルター内に座る親子連れ)私の前からレントンがいなくなちゃう事と同じように、(エウレカ、表情を歪めながら)みんな大切な人を失えば辛いんだよ。(俯くエウレカ、見つめるレントン)そう思うと、私…」
急にペダルを踏むエウレカ、
「うわぁっ」
それに反応して体勢を崩すニルヴァーシュ、しばらく落下した後、ようやく体勢を整える。戦線を離脱した形となっている。
○ビルの谷間を行く606と808。
606コクピット内ヒルダ。ニルヴァーシュが消えていったほうを見て言う。
「あの子達」
606後方の808から無線で聞こえてくるタルホの声。
『戦うことだけが答えじゃない』
808コクピット内タルホのアップ。
「それをあの子達が選んだのならそれでいい。そうすることで未来を見つめることができるのなら、それで…」
ピーッ、ピーッ
レーダに反応。後ろから迫ってくるKLF1機。
「そんなこと言っちゃって。あの子達のこと信じてるくせに」
後ろを振り向き肉眼で確かめながら言うヒルダ。
後ろから銃撃してくるKLF、かわす808。外れた弾はビルを傷つけていく。
606は反撃して808の援護をするが、逃げるKLFの陰になってた808に弾が当たってしまう。
煙を上げて落ちていく808。
上空からそれを見ていたムーンドギー、目をむいて驚く。
「うおー、味方同士で撃った…」
「慌てるな、あれは作戦だ。聞いてなかったのか?」
その姿に驚くケンゴウ、ドギーに説明する。どうやら聞いていなかったような顔のドギー。
「だっけか…」
その時、月光号に衝撃。
「右舷後方に被弾!」
ハップの報告に、ギジェットが続く。
「KLF3機小隊、こちらに向かって来ます」
下方から上がってくるKLF3機。
ケンゴウ、ムーンドギーに語る。
「いいかムーンドギー。全てはお前の一念に尽きるのだ」
ケンゴウを見つめるムーンドギー。
「守りたいか否か」
気持ちを集中するかのように目を瞑った後、正面を向き、
「よっしゃーっ!」
と気合を入れるドギー。
それを見て笑うハップ。
「ふっ、…いいコンビだ」
○どこかの州
TYPE END格納庫。
モニタで首都の様子を見るドミニク、アゲハ隊A・B・C、後方には覗きこむ技術者達。そこには煙が上がった首都、その上を飛ぶ月光号等がリアルタイムで映し出されている。
「…ああ…っ」
そこまでを見るなり、立ち去ろうとするアゲハ隊の面々。
「おい」
ドミニクは、子供達を呼び止める。
「大佐は私の報告書を読んだのか?」
立ち止まり、ドミニクに目をやるアゲハ隊。
「報告書?」
何を言ってるのだ?といった感じで問い返すアゲハ隊A。それに、興奮して語気を強めて言うドミニク。
「タイプ・ゼロとそのライダーに関する新しい報告書だ」
それでも何事も無かったかのように流して言うアゲハA。
「しかるべき時がくればお読みになるでしょう。それが真に重要なものであればの話ですが」
「真に重要なものであればだと?タイプ・ゼロがスペックアップした事がどのような意味を持つのかお前達にだって…」
更に興奮し、アゲハ隊Aに詰め寄るドミニク。だが、話の途中、後ろから伸びた手に壁へと引っぱられる。
ドミニクを引っ張ったのはアネモネ。
「アネモネ」
壁に手をつき、眉間に皺寄せて俯きながらドミニクを問い詰めるアネモネ。
「報告書、出したんだ」
「えっ?」
「まさかとは思うけど、ジ・エンドが負けたなんて書いてないよね?」
「アネモネ、それは重要な事じゃ…」
なだめるように言うドミニク。しかし、
「(ドミニクに引きつった顔を寄せて)重要なことに決まってんだろっっ!(驚くドミニクのアップ)…私に次があると思ってんの?二度も失態やらかして(アネモネ、興奮して壁をドンドンと叩き出す)、デューイが次をくれると思ってんの?(アネモネ、また壁をドンドンと叩く)なんでそんな簡単な事がわかんないのよ!(アネモネ、更に壁を叩く)なんでそんなにバカなのよっ!…何でよ。(アネモネ、顔面に汗をかきつつ視線は下を向いたまま)ねぇ、何であんなダッサイ奴に負けちゃったのよ(アネモネの目が泳ぎだす)」
一気にまくし立てるアネモネ。
「アネモネ…」
ひどく怯えるアネモネ。
「…殺されるよ。絶対に殺されるって…。絶対、絶対だよ。絶対…」
肩に手をやり、やさしく言うドミニク。
「大丈夫。次はきっと勝てるさ」
その言葉に身体を引いて、ポソリ言うアネモネ。
「…軽い言葉ね」
「えっ?」
状況がわからず、唖然とするドミニク。
モニタの方へと危なっかしい足取りで歩いていくアネモネ。ドミニクはそれを見ているしかなす術は無かった。
○煙を上げて着陸している808。
コクピットには誰もいない。
建物への入り口が開いている。
○建物内某部屋
中央にノート型PC(らしきもの)が置いてある。
そこに、銃を構え、様子を伺いながらゆっくりと入ってくるタルホの姿。その後から、ミーシャとグレッグも続く。
部屋のノート型PCの前まで行き、しゃがみこむタルホ。
だれもいないのを不審がったグレッグが言う。
「誰かと落ち合う手筈じゃ無かったか?」
それには答えず、ノート型PCを開けるタルホ。
「っ!」
PCの液晶ディスプレイの上にテープで写真(タルホのセミヌード)が貼り付けられている。
その写真には『ノルブ ティルアー・ガルデン』の文字。
それを見て優しい目で微笑むタルホ。
「ありがと」
そして、ミーシャとグレッグの方を振り返ると、プロフェッショナルな顔に戻って言う。
「始めるわよ!」
■AパートEnd
■今回も当然あったりする言い訳(いつものお約束)
電子テキスト化する時に、今回はShow Timeを使用、手順としてはまず台詞を聞き取り、それから画面を観て状況を記入する、という順序の作業を行っています。
がそれでも、UP前のチェックで状況説明に脳内補完(個人的判断)を入れてる可能性がありますので念の為。但し、台詞はそのままです(…ただ、その台詞が100%正しいとはいえません)。
上記の事を理解した上で、台詞や状況説明等の「ここってこうじゃない?」というの突っ込みをお待ちしてます。
■報告事項
今回から少し標記を変えてみました。大きいシーンには「○」を付けただけですけども。…状況説明の字体も変えようかと思ったのですが今回は見送りということで。
【以下余談】
■消えたモーリス
今回、マシューがレコードをいじっていたシーンで、メーテルとリンクの2人は、モリタとソニア両名と一緒にいましたが、そこにモーリスの姿はありませんでした。考えるに、今回出ていなかったストナーと一緒にいたのでしょう。…カメラの事を教えてもらう為に、ね。
■細かい話?
インフォーマーが残した、メッセージを書いてあった写真…あれって「タルホのセミヌード」写真だったって気付いてました?…こういう事が簡単にチェックできるのも台詞起こしのおかげですねー(笑。
今回は私事で色々あって遅れてしまっています台詞起こしです。本当にごめんなさい。
…Bパートはこの分じゃあ23日まで引っ張っちゃいそうですよ、ええ。明日22日は連れ合いの忘年会がある為、夜中は子守りなので。
■OP
書き忘れていましたが、OPが微妙に変わっていましたね。追加カット有り、差し替え有り…。でもそこまでするなら、何故最後の止め絵を変えなかったのでしょう?…というか、あそこだけの変更でよかった人だったもので、私(もしくはそのままでも良かった派)。
何度も言いますが、第3期OPは、歌と画面が良く合っていて好きですよ(そりゃ、絵がもっとキャラクターデザインに近ければ何の文句も無いのでしょうけども)。
※12/26修正版(yasuさん、大感謝です)
■第35話 アストラル・アパッチ Start
○首都キャピトルヒル。
その近郊の島、首都防衛隊 第23監視所。
BGMが鳴り続けている。
「また出たらしいですね、コーラリアン」
「ああ」
監視塔に詰める2人の職員、片方が熱心に話しかけている。
「グレミコワっていう州ですよ、確か。ま、ちょうどこの星の反対側だし心配は…」
足を組み、手にした雑誌を呼んでるソバカス職員が同僚に言う。
「つうかさあ、そのシャカシャカいってんの止めてくんないか。気が散っから」
「何だよ、自分だって本読んでるくせに」
お互い様だろと文句を言う眼鏡をかけた職員、
「いいんだよ、これは情報収集なんだから」
取って付けた言い訳を聞きながら、ラジカセのスイッチをまさぐる。
「あ?」
驚く眼鏡の職員。色々なボタンをカチカチしながら、ラジカセを持ち上げる。
まだ、BGMは鳴り続けている。
「あれ、あれ…おっかしいなあ」
読んでる本から目を離さずに邪魔くさそうに聞くソバカス職員。
「どうしたん」
その方を見て言う眼鏡職員。
「ラジカセついてないんだけど」
ビーッ!、と鳴り出す警告音。
その方向に目をやる二人。
『非情警報、無人のUNKNOWNトラパー反応…』
「おい、なんだこりゃ」
モニタを見て慌てるソバカス職員(足元には、ジャンクフードのカラ等であふれたゴミ箱)。
その声に眼鏡も反応する。
「どうした?」
「未確認のトラパー干渉を確認」
ソバカス職員の報告に戸惑い、立ち上がって周りを見渡す眼鏡職員。
「なんだって?どこだ」
「3時の方向、距離52」
水平線上に水飛沫。だんだんと大きくなっていく。
○海上スレスレを飛行する月光号。
その機体の前方下には4機のLFO(月光号のコンパクインターフェアレンサーの有効範囲内に入るため?)。
ホランドの作戦確認が無線から聞こえてる。
『606は808のバックアップで第23ディストリクトより進入』
808コクピット。主操縦席にタルホ、コパイにミーシャを抱っこして座るグレッグ。
『その間に909とニルヴァーシュで敵を撹乱』
月光号ブリッジ。操縦席にはムーンドギー、キャプテンシートは空席、それ以外のメンバは変わりなし。
『タルホがインフォーマーからノルブの居場所をゲット次第、その奪還に向かう』
部屋でレコードを操るマシュー、それを前で見ているメーテル、リンク。そのお守りをするモリタとソニア。
『すべてはあのじいさんが動き出す前に片付ける』
ニルヴァーシュのコクピット内、レントンとエウレカ。…エウレカの表情が思わしくない。
『この作戦の成功は他でもない俺達のコンビネーションに掛かっている。ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん。俺達なら(ホランド、アップ)出来るっ!』
第23監視所を掠めて首都へと飛んでいく月光号。その後から水飛沫が起こっていく。
○第23監視所。
月光号によって吹き上げられた水が、まるで土砂降りの雨のように監視塔に降り注いでいる。
監視塔内、なす術も無く見送る2人の職員。
ソバカス職員は双眼鏡で通り過ぎていった船を見て呟く。
「あれは、SLー1200MK2。馬鹿な、ここは首都だぞっ!」
■タイトル:第35話 アストラル・アパッチ Astral Apache
■AパートStart
○警報が鳴り響く首都キャピトルヒル。
ティルアー・ガルデンにデューイ、アゲハ隊の子供たちを両脇にノルブ師。
「まだ何にもしてないんだけどねぇ」
胸をはだけたノルブ師が呟く。
「これはあなたを警戒した警報ではない。何者かがこのキャピトルヒルに攻め入ろうとしているんだ」
それを受けて、この状況を話すデューイ。
「何者か?」
「ヴォダラクの過激派の中でここを直接攻撃しようなどいうものがいるだろうか?あなた以外に」
「チっ…」
舌打ちをし、話しだすノルブ師、
「あのねぇ、ちなみに俺は過激派じゃあ…、っ!」
途中で何かに気付き言葉を止める。
デューイも同じ事を考えていた様、ノルブ師の代わりに言葉を続ける。
「私にも心当たりはひとつしかない。あなたが真実を教え、迂闊にもこの星の命運を託したあの男以外に」
不敵な顔つきのデューイ。顔を上げる。
○首都のビル上、並ぶミサイルポット。
次から次へとミサイルを発射していく
首都間近までリフって来ているLFO4機。ホランド、
「先行障壁射出っ!」
と、ミサイルに対抗すべく手を打つ。
月光号より発射される2本の先行障壁弾。ミサイルの前で展開し、煙幕のような壁を張る。
○ティルアー・ガルデン内。
周りの喧騒などお構い無しに話すデューイ。
「あなたは『汝の隣人を愛せよ』ということばを知ってるか?」
「何?」
「我々人類に伝わる最古の書物に書かれていた言葉だ。しかし、何故その言葉が人類最古の書物に書かれていたと思う?それは、人がその言葉なくして互いを生かしておくことが出来ないからだ。何とも情けない存在だな、人というものは」
「何が言いたい」
「私は単に人として自らの言葉を勝ち得たいだけなんだよ。…知っているか?神と呼ばれるものが最初に啓示したのが『始めに言葉ありき』という事柄だった事を」
「…そうか。ふん、ラスコーリニコフにでもなるつもりか、お前は」
○煙の中を飛び出していく月光号。
その前をリフるLFO4機。
外を見ているエウレカ、レントンに振り向き、
「レントン…」
しかしレントンは前を見つめて言う。
「来るよっ」
その言葉に前を向くエウレカ。
前方首都方面から打ち出されるミサイル、リフって上空にへと避けるLFO4機。
月光号の周りに次々に着弾するミサイル。
それにびびるムーンドギー、
「ううう…」
それを横のケンゴウが一喝する。
「慌てるなっ。主砲照準合わせ、てーっ!」
発射される主砲。
後ろから来る主砲ビームに反応するエウレカ。
「!」
ミサイルポットを焼き払い、そのまま首都にまで伸びていく主砲ビーム。街を巻き込み爆発が起きる。
リフるニルヴァーシュ。そのコクピット内。
レントンの肩に手をやり、思いつめた目でレントンに言うエウレカ。
「…レントン」
「わかってる、わかってるつもりなんだけど、でも…(目を伏せる)」
レントン、エウレカから目を逸らし呟く。
「俺だって」
ピーッ
「!」「!」
残っていたミサイルポットから発射されたミサイルに対する警告音に反応し、それをアクロバティックなリフでかわし、ミサイルポットをナイフで切り裂くニルヴァーシュ。
○首都上空を行くLFO4機と月光号
『たった今、俺達は首都キャピトルヒルの絶対防衛線を突破した』
909コクピットのホランド、無線で現状とこれからの確認をする。
「作戦の第1段階は成功だ。これから第2段階へと移行する。いいなっ!」
『了解っ!』
皆が言う中、聞こえなかった声に気付くホランド。
「…んっ。どうしたニルヴァーシュ。…あっ」
自機の下を行くニルヴァーシュに気付く。
モニタにレントン。
『ホランド、もうこんな戦い止めましょう』
モニタ越しに怒鳴るホランド。
「馬鹿野郎、今更何言ってやがる」
コクピットのレントン
「こんな戦い方、俺、良くないと思います(横にいるエウレカを見て)。こんなの、俺達の戦い方じゃないです」
胸に左手を当て目を伏せるエウレカ。心配気に見つめるレントン。ホランドの声が無線から響く。
『ブリーフィングでも言った筈だ。ここで引き帰したらこの星は全てを失う。俺達には時間が無いんだっ!』
前を向くレントン、
「だけど…」
ホランドに反論しようとした時、左手を胸に当てて目を伏せたままのエウレカがぽそりと言う。
「大丈夫」
驚くレントン。
「えっ?」
目をつむったまま自分自身に言い聞かせるように話すエウレカ、
「大丈夫、まだ行ける。(目を開けレントンの方を向き)だからお願い、手を握ってて…」
左手をレントンの方に差し出す。
「エウレカ」
やさしくその手を握るレントン。
急に上昇するニルヴァーシュ。それを見送るホランド、
「…」
すぐに下から来る3機のKLFに気付く。
「…えっ」
KLFから発射されるミサイル群。
上下右左と、自由自在にリフりながらそのミサイルを避けていく909。塔(軌道エレベータ)の方へと逃げてかわしていく。
ミサイル爆発の煙の中から飛び出してくる4機のLFO。即、それぞれの方向に展開する。その後ろから月光号が続く。
ゲッコウ号は塔(軌道エレベータ)を掠めるようにを右旋回していく。
○首都。
上空では戦いが。
『非常警報が発令されました。各自速やかに、指定されたシェルターへ避難して下さい。繰り返します。非常警報が発令されました。各自速やかに、指定されたシェルターへ避難して下さい…』
軍人に混じって道を走って逃げ惑う一般人。その中には母親に手を引かれて走る子供の姿が。
エウレカの目アップ。
ぎゅっと握る手に力が入るエウレカ(いつの間にか手の上下が逆に…エウレカがレントンの手を握っている)、苦悶の表情で俯く。
「エウレカ」
「…子供がいた」
苦しそうに呟くエウレカ。
「え?」
確認しようとレントンは顔を向けるが、人が小さすぎてわからない。
「やっぱり怖いっ…」
握り締める手に更に力が入る。
「うわぁあ…っ」
急上昇をするニルヴァーシュに驚くレントン。
レントンがエウレカを励ます。
「頑張って、エウレカ!」
それに首を振って答えるエウレカ。
「わかってる!わかってるけど、私達が頑張れば頑張るだけあの人達を倒すことになるんだよ!」
エウレカから正面へと視線を移して、
「そうだけど(視線を落とし)、でも…」
「…怖いよ」
「エウレカ!」
再びエウレカの方を向くレントン。
「(逃げ惑う人々)あの人達にもきっと大切な人がいるんだよ。(シェルター内に座る親子連れ)私の前からレントンがいなくなちゃう事と同じように、(エウレカ、表情を歪めながら)みんな大切な人を失えば辛いんだよ。(俯くエウレカ、見つめるレントン)そう思うと、私…」
急にペダルを踏むエウレカ、
「うわぁっ」
それに反応して体勢を崩すニルヴァーシュ、しばらく落下した後、ようやく体勢を整える。戦線を離脱した形となっている。
○ビルの谷間を行く606と808。
606コクピット内ヒルダ。ニルヴァーシュが消えていったほうを見て言う。
「あの子達」
606後方の808から無線で聞こえてくるタルホの声。
『戦うことだけが答えじゃない』
808コクピット内タルホのアップ。
「それをあの子達が選んだのならそれでいい。そうすることで未来を見つめることができるのなら、それで…」
ピーッ、ピーッ
レーダに反応。後ろから迫ってくるKLF1機。
「そんなこと言っちゃって。あの子達のこと信じてるくせに」
後ろを振り向き肉眼で確かめながら言うヒルダ。
後ろから銃撃してくるKLF、かわす808。外れた弾はビルを傷つけていく。
606は反撃して808の援護をするが、逃げるKLFの陰になってた808に弾が当たってしまう。
煙を上げて落ちていく808。
上空からそれを見ていたムーンドギー、目をむいて驚く。
「うおー、味方同士で撃った…」
「慌てるな、あれは作戦だ。聞いてなかったのか?」
その姿に驚くケンゴウ、ドギーに説明する。どうやら聞いていなかったような顔のドギー。
「だっけか…」
その時、月光号に衝撃。
「右舷後方に被弾!」
ハップの報告に、ギジェットが続く。
「KLF3機小隊、こちらに向かって来ます」
下方から上がってくるKLF3機。
ケンゴウ、ムーンドギーに語る。
「いいかムーンドギー。全てはお前の一念に尽きるのだ」
ケンゴウを見つめるムーンドギー。
「守りたいか否か」
気持ちを集中するかのように目を瞑った後、正面を向き、
「よっしゃーっ!」
と気合を入れるドギー。
それを見て笑うハップ。
「ふっ、…いいコンビだ」
○どこかの州
TYPE END格納庫。
モニタで首都の様子を見るドミニク、アゲハ隊A・B・C、後方には覗きこむ技術者達。そこには煙が上がった首都、その上を飛ぶ月光号等がリアルタイムで映し出されている。
「…ああ…っ」
そこまでを見るなり、立ち去ろうとするアゲハ隊の面々。
「おい」
ドミニクは、子供達を呼び止める。
「大佐は私の報告書を読んだのか?」
立ち止まり、ドミニクに目をやるアゲハ隊。
「報告書?」
何を言ってるのだ?といった感じで問い返すアゲハ隊A。それに、興奮して語気を強めて言うドミニク。
「タイプ・ゼロとそのライダーに関する新しい報告書だ」
それでも何事も無かったかのように流して言うアゲハA。
「しかるべき時がくればお読みになるでしょう。それが真に重要なものであればの話ですが」
「真に重要なものであればだと?タイプ・ゼロがスペックアップした事がどのような意味を持つのかお前達にだって…」
更に興奮し、アゲハ隊Aに詰め寄るドミニク。だが、話の途中、後ろから伸びた手に壁へと引っぱられる。
ドミニクを引っ張ったのはアネモネ。
「アネモネ」
壁に手をつき、眉間に皺寄せて俯きながらドミニクを問い詰めるアネモネ。
「報告書、出したんだ」
「えっ?」
「まさかとは思うけど、ジ・エンドが負けたなんて書いてないよね?」
「アネモネ、それは重要な事じゃ…」
なだめるように言うドミニク。しかし、
「(ドミニクに引きつった顔を寄せて)重要なことに決まってんだろっっ!(驚くドミニクのアップ)…私に次があると思ってんの?二度も失態やらかして(アネモネ、興奮して壁をドンドンと叩き出す)、デューイが次をくれると思ってんの?(アネモネ、また壁をドンドンと叩く)なんでそんな簡単な事がわかんないのよ!(アネモネ、更に壁を叩く)なんでそんなにバカなのよっ!…何でよ。(アネモネ、顔面に汗をかきつつ視線は下を向いたまま)ねぇ、何であんなダッサイ奴に負けちゃったのよ(アネモネの目が泳ぎだす)」
一気にまくし立てるアネモネ。
「アネモネ…」
ひどく怯えるアネモネ。
「…殺されるよ。絶対に殺されるって…。絶対、絶対だよ。絶対…」
肩に手をやり、やさしく言うドミニク。
「大丈夫。次はきっと勝てるさ」
その言葉に身体を引いて、ポソリ言うアネモネ。
「…軽い言葉ね」
「えっ?」
状況がわからず、唖然とするドミニク。
モニタの方へと危なっかしい足取りで歩いていくアネモネ。ドミニクはそれを見ているしかなす術は無かった。
○煙を上げて着陸している808。
コクピットには誰もいない。
建物への入り口が開いている。
○建物内某部屋
中央にノート型PC(らしきもの)が置いてある。
そこに、銃を構え、様子を伺いながらゆっくりと入ってくるタルホの姿。その後から、ミーシャとグレッグも続く。
部屋のノート型PCの前まで行き、しゃがみこむタルホ。
だれもいないのを不審がったグレッグが言う。
「誰かと落ち合う手筈じゃ無かったか?」
それには答えず、ノート型PCを開けるタルホ。
「っ!」
PCの液晶ディスプレイの上にテープで写真(タルホのセミヌード)が貼り付けられている。
その写真には『ノルブ ティルアー・ガルデン』の文字。
それを見て優しい目で微笑むタルホ。
「ありがと」
そして、ミーシャとグレッグの方を振り返ると、プロフェッショナルな顔に戻って言う。
「始めるわよ!」
■AパートEnd
■今回も当然あったりする言い訳(いつものお約束)
電子テキスト化する時に、今回はShow Timeを使用、手順としてはまず台詞を聞き取り、それから画面を観て状況を記入する、という順序の作業を行っています。
がそれでも、UP前のチェックで状況説明に脳内補完(個人的判断)を入れてる可能性がありますので念の為。但し、台詞はそのままです(…ただ、その台詞が100%正しいとはいえません)。
上記の事を理解した上で、台詞や状況説明等の「ここってこうじゃない?」というの突っ込みをお待ちしてます。
■報告事項
今回から少し標記を変えてみました。大きいシーンには「○」を付けただけですけども。…状況説明の字体も変えようかと思ったのですが今回は見送りということで。
【以下余談】
■消えたモーリス
今回、マシューがレコードをいじっていたシーンで、メーテルとリンクの2人は、モリタとソニア両名と一緒にいましたが、そこにモーリスの姿はありませんでした。考えるに、今回出ていなかったストナーと一緒にいたのでしょう。…カメラの事を教えてもらう為に、ね。
■細かい話?
インフォーマーが残した、メッセージを書いてあった写真…あれって「タルホのセミヌード」写真だったって気付いてました?…こういう事が簡単にチェックできるのも台詞起こしのおかげですねー(笑。
by hk-club
| 2005-12-21 23:59
| エウレカセブン【台詞起こし】